溝井裕一(関西大学教授) ・変わる動物園~その歴史と役割~
溝井さんは世界の動物園を訪ね、その歴史と人間の動物館の変遷を研究しています。 動物園は家族で楽しむ娯楽の場、子供の教育、自然や命の大切さや理解を深める場ですが、近年の動物園の役割はそれだけではありません。 動物園はその誕生から今日まで、時代と共に姿も役割も変えてきました。 そして今も変わっています。 溝井さんは人は動物たちといかに向き合うべきか、まさに今ホットなテーマだといいます。 どういう事なのか、動物園の歴史を踏まえてお話を伺います。
子供のころから動物には興味はありました。 昔話には動物が良く出て来て、人と動物の関係が大事なことに気が付いて、授業のネタにも取り上げていました。 或る時に動物園の本を見て動物園の研究をしてみようと思いました。 動物園のデザインがどう変化してきたか、調べたりするとその時代時代に人間が動物のことをどう思っていたか、と言う事が判って来て、広い意味の文化史で、私は文化史をやっていてその範疇に入って来る。
メソポタミア文明は紀元前3000~4000年に成立しましたが、いろんな国が成立してゆく過程で、王様たちが珍しい動物、危険な動物とかを飼育するという事を始めました。 これが動物園の最初のきっかけです。 (冨と権力を示す。) 中世のヨーロッパでは同じような動機から皇帝、王様が動物を集めていました。 昔イギリスのロンドン島では動物を飼うスペースがあって、象、ライオンなどを飼育していました。 一般の人もそこに行けば見ることが出来た。(13~19世紀まで) フランスのパリにあるジャルダン・デ・プラントという施設がありますが、もともとは植物園でした。 そこに動物が合流して動物園としても機能するようになりました。 ルイ14世も動物コレクションを持っていましたが、ベルサイユ宮殿にありました。 フランス革命が起きて、動物コレクションを解体てしましょうと言う事のなりました。 ジャルダン・デ・プラントという施設に動物を持っていきました。(世界で最初の動物園 zoological garden=動物学園) 「動物園」と最初に翻訳したのが福沢諭吉です。 フランスは他国と戦って他国の動物コレクションから珍しい動物を持ってきて飼育して、国としての力の象徴になったわけです。
日本で最初に出来た動物園は上野動物園です。(1882年) ジャルダン・デ・プラントををモデルに作られました。 ヒグマほか地味な動物しかいなかった 。 外国からキリン、象などを購入いsて行くうちに段々と充実してゆく。 2番目が京都市動物園、3番目が大阪の天王寺動物園、段々日本中にできてくる。 いかに集客するか、面白いという事が重要となる。 動物に芸をさせる、遊園地を併設する。(娯楽路線) 本来の動物園は自然な動物の姿を見せる場所であるべきだとの批判が出てくる。 元々は動物を狭い檻に入れるという事が主流だったが、これに変化を持たせたいという事が現れます。 ドイツのハーゲンベック動物園の経営者は、動物は狭い檻の中で飼っているよりも広い空間で駆け回っているのをを見た方が楽しいはずだろうし、動物にもいいだろうと考えて、20世紀の初頭(1907年)にオリジナルな動物園を開いた。 パノラマ展示、広くて檻がないが動物には越えられない堀が掘ってある。(新しい展示の幕開け) 種別に分けてほうががいいのではないかと言う様な批判もあり、新しい展示方法として、動物地理学的展示が考え出されます。 (多摩動物園などがこの展示方法) その後いろいろな方法が考えっれて車を利用したサファリパークがあります。(1950年代) ランドスケープイマージョン展示、地形、岩、植物など徹底的にリアルに再現する。 その中に動物を入れるとその動物の振舞が非常に自然になる。 お客さんの側にも同様な景色になっているが、その間には堀があるが判らないようになっている。 動物たちの中に迷い込んだような錯覚になる。
デズニーワールドのアニマルキングダム(20世紀終わりに作られる。) サファリパークの様になっていて車で探検が出来る。 ストーリーと組み合わせて動物を見る体験を提供している。(テーマパーク的な動物園) いろいろコンビネーションを組むという事もやっていいます。 アメリカでは古くから存在している雄大な景色が誇りであると感じると云う様になって、出来るだけアメリカの景観を保護しようとか、動物園でも絶滅しかけている様な、ヨーロッパバイソンとかを繁殖して育てるというふうなことも取り組んできました。 動物を輸入に頼らないで,動物園で飼っている動物は自分たちで繁殖させるよいうなシステム作りを推し進めてきています。 日本の動物園もこの流れに従ったいます。 娯楽のほかにも教育、研究、保全活動の大切さ、をしっかり伝えてゆく事が動物園には求められています。 地元の自然環境が再現されていて、地元の動物を見てもらうという取り組みも見られます。