嶋暎子(アーティスト) ・80歳でブレイク 折込チラシをアートに
嶋さんは1943年東京生まれ。 新聞の折り込みチラシのあらゆる写真を切り抜き、それを貼り付けて制作する巨大なコラージュ(ありとあらゆる性質とロジックのばらばらの素材(新聞の切り抜き、壁紙、書類、雑多な物体など)を組み合わせることで、例えば壁画のような造形作品を構成する芸術的な創作技法)など、独特の作品世界で注目されています。 4年前自宅近くの個人ギャラリーで数日間だけ開いた個展が、SNSで大きな反響を呼び80歳を目前に一躍人気アーティストとなりました。 嶋さんは結婚後仕事や家事、育児に加え家族3人の介護に追われ30年近く創作活動を中断しましたが、50代半ばになって本格的に再開、高密度と呼ばれる緻密なコラージュに辿りつきました。 紙が私の絵具と語る嶋さんにお話を伺いました。
渋谷で展覧会が開催されていて100号サイズ(165cm✕140cm)が4枚連なって、迫力がある。 高層マンションが連立していて未来都市のように見えるが、目を凝らしてみるとマンション群が折込チラシのマンションの写真が一杯重なっている。 さかな、ネギ、バナナなどが飛んでいる不思議な光景。 一点で、集中して3か月ぐらいかかります。 材料は全てチラシから切り抜いていきます。 紙質を選ぶという事もします。 使えそうだと思ったものをおおざっぱに集めて、時間のある時に鋏で切り集めて行きます。 広告一つ見ても時代と共に読めるものがあります。 切ったものは透明な引き出しケースに入れておきます。 色ごとに分類して、選んでいきます。 鋏も3本あります。 少しづつ輪郭を取って貼りこみます。 糊は普通の糊と木工用の接着剤を混ぜて使っています。(糊によって印刷の色が変わらないように) 細かいところを貼る時に、貼り残しが有ったりするときに、つまようじの先に糊をつけて修正したりします。
SNSでの発信があり、大ブレークしました。 見て下さった若い方が元気をもらったとかいろいろなことを言ってくださって、少しでも元気が分けられてよかったなあと思います。 感想、ご意見を頂き、私も励みになって嬉しいと思います。
父は若い頃から美術関係の本を家に集めていました。 それを見て育ったという事は大きな影響かと思います。 絵が好きでした。 小学校で観た山下清さんの貼り絵展が印象が強く、ピカソ、マティスも切り絵があるので、そういったところから自分でも紙の作品を作り出したものと思います。 高校生の頃はピカソ、マティスの切り絵の影響が大きかったかも知れません。 高校時代が貼り絵のスタートかなと思います。 高校卒業後、就職して美術部に入り油絵をはじめました。 貼り絵を出展して奨励賞を頂いて、それから貼り絵にシフトしていきました。 個展でやなせたかしさんから「紙様のように心のままに貼って下さい。」といったサインを頂きました。
27歳で結婚して子供も二人生まれて、家族も7人だったので、生活、仕事に追われていました。 (55歳ぐらいまで続く) 夫の両親、姉、が同居して大変でした。 夫の父は早く亡くなりましたが、私が更年期のころには夫の母と姉、そして実母も呼び寄せて、介護が始まりました。 会社を辞めて徐々に時間が出来てきたので、みんなが寝た夜中に切り絵を始めました。 30年近く経ってから個展をやりました。 公募展に4点ほど出して、新人賞を頂きました。 その後作品つくりに打ち込みました。 創作活動開始が55歳ぐらい。 ほんの少しの時間を見つけては作品に取り組んだり、夜中2時、3時迄やっていました。 子供にはしわ寄せが行っていたかもしれません。 両親、姉を看取ったのちに76歳の時(2016年夏)に背中に激痛が走りました。 診断は腰椎化膿性脊椎炎でした。 直ぐに手術を行いました。 ボルトを入れたので1年間コルセットを装着しまた。 1年間は車椅子の生活でした。 切り絵の小さな作品を作り出しました。 2018年に世田谷の区民ギャラリーで個展を開催しました。 2019年も個展を行いました。 大波は被らなかったとしても、ひたひたさざ波が打ち寄せている様な人生でした。 高密度のコラージュをこれからも作っていきたい。