2024年4月21日日曜日

加藤文俊(慶応義塾大学環境情報学部教授)・〔美味しい仕事人〕 「食」でつながる~カレーキャラバンの試み~

 加藤文俊(慶応義塾大学環境情報学部教授)・〔美味しい仕事人〕 「食」でつながる~カレーキャラバンの試み~

仲間と一緒に全国を訪ねて、その場でカレーを作り集まってきた土地の人たちに食べてもらうと言うカレーキャラバンに取り組んできました。 2021年からはじまったキャラバンは80回に及びます。 カレーの香りに誘われてやって来る人、食材を無料で提供してくれる人、美味しいカレーを作る為のアドバイスをしてくれる人など見ず知らずの人たちが、カレーの鍋を囲んで会話が始まります。 カレーを味わう、そしてコミュニケーションを味わう場所が出現するというこの取り組みはコミュニケーションの場を生み出す活動として2015年度グッドデザイン賞を受賞しました。 コロナ感染予防のためしばらく活動を自粛していましたが、今年 はカレーキャラバンの活動を再開したいと語る加藤さんにお話を伺いました。

カレーを作っていると皆さんが寄っていらっしゃるので、カレーがあるという事で皆さんリラックスしていただいて、町のこととか将来の事を話していただけるので、結果として行く先々のことを勉強させていただくような、そういった活動にはなっています。 最初は内輪でカレーの会をするという事でした。 香りに誘われてお話をする場面が出来て、カレーの力を実感したんじゃないかと思います。  町とか暮らしに興味を持っていました。  場の力の流れからカレーキャラバンが始まりました。  墨田区の曳舟、スカイツリーのふもとあたりの古いけど活気のあるキラキラ橘商店街があって、地元の方と街歩きをしたり、巻き込みながら活動するという事をやっていまして、ご当地B級グルメを作ろうかと言う話から始まって、墨東カレーを作ろうという事になりました。(商店街の中) 

アドバイスを頂いたり掛かわって来ていただいて、面白さを感じました。 2年半ぐらいは足を運びました。  初対面の人ともコミュニケーションもカレーがあると違います。   無料でキャラバンをやっています。 当時はメンバー3人で5000円ずつ出し合って、材料を買って、「赤字モデル」と言って作っていました。  或る人が「一回のみに行けば5000円ぐらい払うでしょう。」と言ったんです。 「趣味にはもっとお金をつぎ込んでいるでしょう。」と言われました。  「楽しくカレーを作って人との出会いがあるのだから、飲みに行くのと同じではないか。」とさらっとと言ってくれて、浄化された様な気持ちになりました。 ボランティアとも違います。 

市販のルーは使わないという事を決めました。(スパイスカレー) タンドリーチキンも作りました。 道具立ても行いました。  朝から始めますが、夕方になるころに完成します。  居心地のいい時間と場所が出来上がります。 大田区鵜木と言うところでカレーを作った時に、そこでは知人がギャラリーを開いていて、近くには多摩川があり食べられる植物が一杯あり、それを摘んでそれも加えて作ったのが印象的でした。  身の回りにある食べられる植物を発見できた面白かったです。  初めての人とも共通体験が出来ました。 

杉並区で作った時に、出来あがるころにたくさんの人が集まって来ました。 作っているところは私有地でいいのですが、道(公道)に行列が出来て、そこの際を盛り上げたという事があります。(食べたところがプライベートとパブリックの際の場所) 昔はあいまいな場よ、空き地が界隈にありました。 今は空き地があっても囲われていて入れない。(個人の空き地、工事用地など)   今回のところは空き地のイメージがしました。(一時的、精神的な「共」の時間と空間)  コロナ禍は空き地と言う発想は許されなかった。   「共食」は明るい方向に向かわせてくれるのかなあと思います。