今森光彦(写真家・切り絵作家) ・【オーレリアンの丘から四季便り】夏
今年はイノシシがよく出現しました。 根っこの部分は栄養が蓄えられているので、そこを掘るんでぐしゃぐしゃになったりしました。 鍬でならしてやると2年ぐらいで再生します。 8月上旬に里山昆虫教室を行いました。 コロナ禍でしたが、いろいろ対策を立てて100名ぐらいの参加者で、スタッフをいれると120名ぐらいでした。 今年で24回目になります。 大雨の日があって、部屋の中で出来るいろいろなことをやっていました。 3日目は天気が良くてたくさんの昆虫に出会えて子供たちは大喜びでした。 子供たち同士の交流も出来ます。 琵琶湖の湖岸の砂浜に珍しいトンボ、メガネサナエが羽化するんです。 里山まで来てまた帰っていって卵を産みます。 飛び立つところが見られました。
開墾して6年目で山桜が今年は綺麗に咲きました。 植えたクヌギも大きく成ってきて樹液が出るようになり、カブトムシなどがいっぱい来ています。 子供の頃図鑑をよく見ましたが、絵本と似ていますね、物語を作ります。 子供の頃蝶が好きで全国の蝶の名前を全部覚えました。(180種類ぐらい) 今は240種類ぐらいいます。 蝶には前羽(大きな羽)と後ろ羽がありますが、眠る時には閉じて一つに重なってしまいます。
「小さな里山をつくるチョウたちの庭」 という本を5月に出版しました。 今75種類ぐらいの蝶がオーレリアンの庭で見られます。 当時30年以上前は里山の環境がなくなってゆく時代で、狭くても里山を再生したかった。 生き物を集める庭つくりから始めました。 まず蝶をターゲットに思い立ちました。 蝶は環境の豊かさを測るのにもってこいの生き物です。 幼虫は植物の葉を食べます。 種類によって好きな植物が違います。 何種類もの蝶が住んでいるという事はそれだけ多様な植物が生えていて、環境が多様であるという事です。 30年以上をかけて蝶の庭を少しずつ作ってゆく事になりました。 植物は日当たりのよいところが好きなもの、湿っているところが好きなものなど種類によって様々です。 この庭のお手本は里山、自然と人との営みがどちらも壊れることなく共存している。
オオムラサキだとエノキしか食べない。 決まった植物しか食べない、そういった蝶が多いです。 蝶のお陰で細かい環境を注意するようになりました。
写真を撮る行為は客観性が必要で、中に入ってると駄目なんです。 環境農家になって環境作りのこともそうですが、写真家としてのこの仕事をこれからどう考えてゆくかという大きなポイントでもあるわけです。 農薬も使わないし、有機的です。 子供たちもそこで遊んでもらいたいと思っています。 農家の方たちと外からやって来る人たちとの交流は絶対必要で大事なことです。 後継者がいないという事は全国的なことで、交流をすることで土地、棚田、田園の新しい可能性が発見できる、そういったものに繋がるといいですね。