コージィ城倉(漫画家) ・ちばあきおさんの遺志を受け継いで
コージィ 城倉さんは漫画家としてだけではなくて、漫画原作者森高 夕次としても、「グラゼニ」など多くの野球漫画を生み出しています。 ちばあきおさんが1984年に41歳で亡くなったことで未完となったっ野球漫画の続編に挑戦している城倉さんに伺いました。
最初にちばあきお先生が執筆したのは「キャプテン」という作品で、転校してきた主人公・谷口タカオは、野球部へ入部するが、谷口を名門青葉のレギュラー選手だったと思いこんでしまう。 しかし実際は、谷口は2軍の補欠でレギュラーにはほど遠い選手だった。 『欠点を持ち合わせた等身大のキャラクターが、仲間と一緒に努力しながら(監督は不在)成長していく過程』を描いたもの。 谷口君から丸井君という二代目のキャプテンに行く。 週刊少年ジャンプで「プレイボール」という谷口君が高校に進学した話になる。 「プレイボール」も高校2年でストーリーが終わるので、その続きを私が30年ぶりに書いているという、そういう流れになっています。
僕は「キャプテン」という作品の全体的な雰囲気が好きです。 だらだら読めてまったくストレスがかからなくて、これを読んでいると心が安らかになった、いいなあと思います。 特に谷口君の時代にはそれが詰まっていると思います。
ちばあきおさんの長男の千葉一郎さんがもう一度「キャプテン」を起こせないかと、「プレイボール」も知ってもらえまいかという動機から、本宮先生に相談されて、グランドジャンプに相談したらどうかということで、グランドジャンプから私のほうに相談がありました。 プレッシャーはなく楽しみしかなかったです。 続編を書くということで、ちばあきお先生も大好きだったし、真似をしたときに読者はどう思ってくれるのかなあと、そっちのほうが楽しみでした。 最初のころの作品はうまく真似できなくて見れないですね。 自分になかでは最近は似せるようになったのかなあと思います。
「プレイボール 2」は4年ほど前から始まりました。 これをやっても読者からは見向きもされないのではないかと思っていました。 反応があったので、よかったです。 勝てないだろうなあと思う相手に根性で向かって行ったら、勝ててしまったというこの構造は、世の中そうは簡単に勝てないだろうとか、40年前の構造は自然に入っていける構造ではないかと思います。 それはどこかに根付いているものだと思います。 それをちばあきお先生は優れていてうまく書いたと思います。 40年前を再現できたとしても、そのままだとアイデア不足だと思いいます。 僕がどう進化させたのかというところを読者に気づいて楽しんでいただければと思います。
ちばてつや先生(ちばあきおの兄)には「プレイボール 2」を書かせていただきますということを実際にお会いして、お話をしました。
漫画原作者森高 夕次としても、「グラゼニ」の原作もしています。 僕は子供のころから野球少年で、中学は軟式野球で、高校は硬式野球で野球をやっていました。 僕の場合は「巨人の星」から始まって、「どかべん」とか見て漫画から誘われて、野球をはじめたんじゃないかなあと思います。 そういった経験があるから野球漫画が描けるのかなあと思います。 読者も目が肥えているので、そういった経験があったので、飯のタネになっていると思います。
漫画を最初に投稿したのは25歳の時です。 すぐ漫画雑誌に載りました。 サラリーマンだったので野球とは違う漫画ばっかり描いていました。 編集者から野球をやっていたんだったら野球漫画を描いてみたらどうかと言われました。 野球漫画を描ける技術もなかったが、突っ込んでいきました。 常に意識していたのはちばあきお先生の漫画でした。 ちばあきお先生の描くアングルに注目して、自分の漫画にも取り入れていこうと思いました。 ちばてつや先生、ちばあきお先生は俯瞰のアングルを使います。 アップ、また引いて、というような繰り返しになっていますが、ちばてつや先生、ちばあきお先生はロングのままずーっと行くわけです。 アップもあるがタイミングが遅い感じです。 ロングだと背景を描くのが大変です。 ロングだと読者に伝わりやすくて、ロングの連続は大事なことだと思います。
「プレイボール 2」は谷口君が東京都の予選でベスト4の試合で負けるが、谷口君が監督になると決意して終わるんです。 谷口監督で3年に丸井選手、2年に五十嵐選手、1年に近藤選手がいるという、ちばあきお先生が描いたキャプテン4人が全員集合するという、「キャプテン 2」でストーリーを展開していきたい、それが何年も前からの目標というか、遠大な計画で、なんとかこの4人を一つのフィールドで戦わしてみたい。 僕はそれを読みたかった。 僕が書いてしまえということでやるんですが。 ちばあきお先生が書かれなかったことを僕が想像して書いてゆくわけですが。 僕は近藤君はもっと成長するのではないかと思っています。 真似てはきたんですが、僕のオリジナルなところも出てくるんです。 この漫画はいろいろな読み方をしてもらえればいいと思います。 谷口君は予備校にも通いながら大学を目指していこうとしていて、甲子園を目指すのと、大学進学を目指す、その二つがあります。