魚柄仁之助(食生活研究家) ・【美味しい仕事人】
魚柄さんは64歳、非常事態に対していざという時の備えは物の備蓄ではなく食べる技術を身に付けておくことが大切だといいます。 魚柄さんは30年にわたり毎日の食事を克明に記録、健康面と経済面から検証し、食生活の改善などをテーマに60冊の著書を発表してます。 身近な食材を無駄なく食べつくす魚柄さんの食生活からは美味しさと豊かさが見えてきます。
何か起きたとき物の備蓄ではなく、乗り切るためのスキル、技術、知恵とかを持っていようと思っています。
非常時のためには何をストックしておくかというと技術と知恵と経験です。
『うおつか流 台所リストラ術』『ひと月9000円の快適食生活』 1994年に出版。 コロナ禍の中で再び注目を集めている。
こうすればいいという事は一つも書いていません、私はこういう事をしてきた結果,こうなんですよというだけで、9000円にするためにはこうしなくては、というようには書いていません。
危ない食べ方を減らしてゆくしかない。 体にいい食べ物なんて世界中一つもない、食べ方で良くも悪くもなる。 どんなものでも少しずつ食べているのが一番いいと思います。
細かく自分が食べたものに対しては記録しています、そうしないとあれがよかった悪かっかたっと判断できない。 200冊、30年以上ずーと書いています。
人間も社会も変化するので、新しい習慣になることを受け入れることができるかどうか、僕は簡単に変えてしまいます。 酒も今は全然飲んでいません。 20歳と同じ習慣をしていたらおかしいと思います。
妻の母親が94歳で長野で畑を耕していて、1年間に50種類ぐらい作って、食べきれないので妻が背中ににしょってくるわけです。 きゅうりを100本で塩でもんでおけば日持ちします、食べきれないときには炒めたりして熱を加えます。 やってみると技術が付きます。
甘くもない南瓜がありますが、それは糖分が低いという事ででんぷん質はあるんです。 でんぷんは60度ぐらいで糖化作用があり、糖分になる可能性があります。 一旦火を通して、65度ぐらいを保てるようにしておきます。 そうすると糖化作用があります。
残った食パンを干して、パン粉にする。 水分を加えて丸めてみたら、焼いていないハンバーグみたいになり、フライパンで弱火で焼いたらパンになりました。 食パンを4つに切り干すと乾パンになり、汁物を作りそれを入れたら主食になります。 それが非常食になるわけです。
東日本大震災の時に避難所に沢山の食パンが来たが、私の本を読んで余ってしまった食パンを干して、乾パンにしてジュースの中に入れただけでおやつに、豚汁に入れたらお腹が膨らみ、周りの人もやるようになった、というメールが来ました。
60冊以上書いてきましたが、マニュアルを書いてきたのではなくて、生きることはこういう事なんだという事を多くの人に感じてほしい。
今後何が起きるかわからない、避難用の道具ではなく、経験と技術と知恵だと思います。
自分のことは自分でやるという事は出来る限り続けていきたいと思います。
今日という日をどう生きるか、その積み重ねが人生になるわけですから、今日どれだけ溌剌とどれだけ有効にやるのか、それを考えて、今日何をやるか自分で考える、そのスターターになればいいと思います。