2015年4月19日日曜日

稲田潤子(ピアニスト)      ・パリ在住25年、ピアノに情熱

稲田潤子(ピアニスト/東京音楽大学専任講師)     ・パリ在住25年、ピアノに情熱
東京音楽大学付属高校 ピアノ演奏科コースを最優秀賞、首席で卒業し、その後フランスに渡りました。
パリ国立高等音楽院ピアノ科、室内楽科共に1等賞で卒業し、1997年にモスクワで行われた、ラフマニノフ国際音楽コンクール・ピアノ部門で2位なしの3位を受賞されました。

フランス・ルーマラン音楽祭で連続演奏会の他、パリで毎年夏のコンサートシリーズなどで称賛を博している。
パリのマレ地区に教会が有りそこで毎年、いろんな楽器の方も出るが、そこでお世話になっていて、自由にプログラムを組んで演奏していいとの事で、そちらでやらせて頂いている。
そこでいろんなお客さんと知り合う事が出来て楽しみです。
フランソワという人、サティーという作曲家の演奏の時にも聞きにきてくださって、謎めいたサティー語と言われるような言葉があり、なかなか意味不明、心を開くは判るが頭を開いてという言葉が有り、フランソワに聞いたらそれはサティー語だという事で、多分心を開いてという事ではないかと、古いギリシャの事を判っていないと理解しにくい言葉使いだったりする。
そういったことをどうやって音に結びつけるのかなどを知りたくて、気になっている事をワインバーみたいなところで話し合ったりする。

共演しているのがモスクワ交響楽団、ソフィアー放送交響楽団、日本フィルハーモニー交響楽団、東京ニューシティー管弦楽団など、いろんな国、日本のオーケストラとも共演している。
NHKにも出演、「ショパンを弾く」 もう20年以上前になる。
シプリアン・カツァリスさんと言うピアニストが、パリの近郊にブルトユー城がありそこの一室でショパンについてレッスンをするというものです。
最初の時にレッスンしていただき、お世話になりました。
FMリサイタル 公開録音 演奏と話を交えながらの番組。2つのグループで構成されていた番組
現在は東京音楽大学の専任講師をしている。

パリを選んだ理由は?
祖父の叔父さんが山内 義雄 フランスの文学者で「チボー家の人々」を翻訳して、皆さんに読んでいただいた。
母の影響もあったと思う。 ピアノをやっていてフランス音楽が好きだった。
フランス語の言葉も好きだった。
絵画も見るのが好きで、色彩豊かで、コロー、モネ、ルノアール、ゴッホとかを見る機会があった。
近所に西村 計雄さんというフランスでも活躍した画家のお嬢さんにフランス語を教えてもらっていた。
ワイセンベルクというブルガリア出身のピアニスト ロシアの作曲家、セルゲイ・ラフマニノフのピアノコンチェルト3番の難曲を5歳ぐらいの時に聞いて、凄い響きに衝撃的な印象が有って、世の中こんな凄いものが有るんだと気付いた。
そのような関係でパリに行くきっかけになったと思う。
ピアノの三浦捷子先生がどんな曲を弾きたいのか聞いてきたが、いつか弾けるようになるかもしれないから頑張ろうねと言う様な事を言ってくれたのを覚えていて、何十年か後に夢がかなって、
嬉しかった。
ラフマニノフはボリシェヴィキ革命(十月革命)の時に自分の故郷を出なくてはならなくなり、家族と共にアメリカに移住してしまって亡くなるまで祖国にもどれなかった。
その分祖国愛が強く、そのことが彼の音楽に溢れ出ていて、そこに感銘する人が多いのではないかと思う。
私はいろんな作曲家のゆかりの地を訪れるように心がけている。
モスクワから600km離れて所にタンボフ州イワノフカという村が有るが、そこにラフマニノフが過ごした休暇の時に訪れていたという家が残っていて、自然に囲まれた素晴らしい場所にあるが、そこで心がほだされて、沢山の名曲を作っている。

マニャールロパルツセヴラック こういう作曲家 ピアニストがなんでもっと演奏しないのかと私が師事して頂いたジェルメーヌ・ムニエ先生が残念だといっていた。
素晴らしいフランス音楽の伝統を、後の世代に伝えてほしいと、ムニエ先生は言っていた。
ドビュッシーとかだけでなく彼らがいたからこそ、フランスの音楽の伝統が今日に至っている。
そこに大きな意味を感じている。
セヴラックの家が有ることを見つけて、トゥールーズから車で1時間ぐらいの村)そこに行ってみたいと思って、電話をした。

セヴラックの孫(亡くなってしまっている)の奥さんとお嬢さんが住んでいて、どうぞいらしってくださいと言われて行ってみた。
セヴラックが使っていたピアノが残っていて、ピアノも弾かせて頂いた。
セヴラックは絵も好きで絵を上手に描いていた。
セヴラックの音楽の作品は光り輝いていてみずみずしい音楽だと思った。
その土地を訪れてみると、こういう光景、こういう香を嗅ぐとああいう響きを作れるのかなあと、五感を通してなにか気付くものかと感じた。

フランスだから良い、ピアノの演奏家としての楽しみ、厳しさ、醍醐味はどうですか?
パリは非常に刺激に満ちている、日々変化している。
困難は多いが、そこそこ根をおろしていると、そこの文化の中に浸っている意識は私にとっては大事で、結局好きなんですね、第二の故郷。
ホームステーした時にピアノを入れさせてもらって、昼間は私が留守番する様な形で、日中弾いていても何にも問題なくて良かった。
食事も素晴らしく、最初のスタートが良すぎてはまってしまったのかもしれない。
ピアノを弾く事は人間の生き方を学ぶことで有る様な気がする。
ヨーロッパの人々を見ていると、自己主張がはっきりしている。
弾き方は少々めちゃくちゃでも、自分の考えが最初のレッスンの時からある。
日本の学生は控えめで、この曲はどのように弾かなくてはいけないのかなあと、いうような感じです。(正しい回答を直ぐ望んでしまう様に思う。)