2025年10月23日木曜日

茅野しのぶ(クリエイティブ・ディレクター)・〔私のアート交遊録〕 アイドルの衣装は、鎧(よろい)である

茅野しのぶ(クリエイティブ・ディレクター)・〔私のアート交遊録〕 アイドルの衣装は、鎧(よろい)である 

AKB48をはじめとするアイドルやアーティストなど、様々な衣装を手掛けています。   AKB48創設当初から総合プロデューサーの秋元康さんの元で衣装担当として活動、これまでに制作した衣装はおよそ4万着を越えます。 メンバーの個性を引き出す豊富な衣装デザインとバリエーションに定評があり、その活動範囲は、エンターテーメントから学校の制服や医療制服のプロデュースまで広がりを見せています。  目指すには360度どこから見ても可愛い衣装、一着として同じものが無いという茅野しのぶさんの衣装に込めた思いを伺いました。

AKB48の大人数を一手に引き受けました。  楽曲に合わせて衣装も変わるので、最低AKB48の場合は一つの公演で10パターンぐらいでしょうか。  凄い時には300人ぐらいがステージに上がるという事もあったので、もう戦場ですね。  最初の3,4年は一人でやっていました。  後輩も育てていかなくてはいけないと思って、2013年に会社組織にしました。  意外とコンプレックスを持っている人が多くて、ステージにあがる時に自信を持ってもらいたくて、オーラが人を魅了させると思うので、自信をつけさせるためには、コンプレックスを解消するか、好きになってもらう。フィットしない時にはこちらから提案します。 (コミュニケーションとりつつ)  コンセプトは「会いに行けるアイドル」としてスタートしました。 14歳から25歳ぐらいまでの少女たちと向き合い方は、まず嘘をつかない、問題を先送りしない、彼女たちの発言などを軽視しない。 (信頼関係が出来てくる。)  

服飾の専門学校に行っている時から、スタイリストのアシスタントになっていました。     2005年 - AKB48誕生前夜、マネージャー募集を聞きつけ、履歴書を持って運営に直談判しました。  秋元さんとの出会いは、人生の恩師だと思っています。  「お前でなければ作れない衣装を作って確立していかないと、クリエーターの世界は優れた才能がいっぱいいるから、とってかわられるから、そこに信念を持て。」と言われました。  「人に涙を流させたいと思うなら、その3倍の汗を裏でかけ。」と言われました。 

3つの視点を持っていて、①プロデューサーだったりクライアントさんの目線、(依頼主の目線)②着用者の視点 ③見ている人の目線。 この3つが上手く合わさって最高のものが出来る確率は凄く低いと思っています。  比率を出来事によって変えて行ったりします。

東日本大震災の後に訪問するときに、彼女たちは悩んでいました。  被災地活動を続けていましたが、きらびやかな衣装は違うかなと思ってTシャツでやっていました。  小さい子がきらびやかな衣装を観たかったようなことを言っていました。 クリスマスの時にサンタさんの衣装だったらいいのかなあと思ってやりました。  幕が開いた瞬間に子供たちがステージに駆け寄って楽しそうにしていました。 主催者の方がこんなに喜ぶのは久々に見ましたと言いました。  衣装の力を感じた出来事でした。 

学校制服のメーカーさんと学校制服をやり始めたり、医療制服もやり始めました。 全国で39校採用頂いています。  失敗を恐れて一歩踏み出せずにいる若者が多いと感じるので、若者たちが挑戦できる状態にしたいと思いました。  最終的にやりたかったことがやれるようになって欲しいなあと思います。  若い者が夢見る日本であって欲しいと思います。    B級映画、特にゾンビ映画が好きです。