2013年5月2日木曜日

豊田直之(写真家53歳)     ・海の森から山の森へ、好奇心は宝箱

豊田直之(写真家53歳)・海の森から山の森へ、好奇心は宝箱
水中撮影の世界に導かれたのは、小学生の時に初めて釣りで黒鯛に出会ったことが、きっかけでした
黒鯛の精悍な顔つきを目にした豊田少年は興奮し、すっかり魅せられてしまったのです
そのことがきっかけで東京水産大学、水産学部に入学し、卒業後船舶用電子機器メーカーに就職、その後漁業の体験などを経て、水中写真家の中村 征夫さんに師事し、水中デジタル撮影の世界で活躍されています

体力は絶対必要な世界ですね  朝起きたら柔軟体操をしてから活動を始める
水中写真 使う道具をハウジングケースに入れて、撮る
最近、水源地に行き、水中の中から、景色を撮る 最初夏に行って、緑がきれいだなあと思い、それから秋の紅葉、桜の季節で桜を撮ったりしているうちにどんどん面白くなった
どうして面白くなったのかというと、ある種 魚が見たらこんなになるだろうなと思うようになった
水が持つ特殊性がビジュアルの大きな影響を与える

水の底から空を撮ると、水のフィルターを通してみえる ある角度になると水が鏡のように反射する
そうすると、あるところからは今度水の底が、海の底が水面に映ったりする
広い領域を魚眼レンズで撮ると、全部映りこむので、その風景の中に、水面が反射している部分と抜けたフィルターのようになっている部分とが一緒に入るので、なんだこの世界はというような感じ
水面が波立つと屈折率が複雑に変化して、撮ってる自分が想像できない様な世界がどんどん展開してゆく  見たこともないような不思議な世界が展開する

小さい頃釣りが好きで、好きで、大学も東京水産大学に行った
黒鯛(関西ではちぬ)  どうしてつれないのか、ある夏水中メガネをつけて飛び込んだ
そうしたら2匹見えた 釣りが下手だったんだと気付いた
中学2年から又釣りに没頭しはじめた 高校も釣りに没頭する
東京水産大学に行く  魚の取り方を勉強 漁業実習などもいろいろやる
番屋でイクラを好きなだけ食っていいと言われた(食べ過ぎてあまり好きでなくなった)

サラリーマンになる 漁船のレーダーとか、魚群探知機とかのメーカーに勤めた。
船にしょっちゅう乗っていた  
どっかで脱さらしなければいけないだろうとは、漫然とおもっていた
漁業の道に一時入る (黄金のいっときだった)
ポッと出の人間が結局船がなく、自分の網がなく、道具も持っていない 所からのスタートだと生活できるレベルまでは行かなかった  島にいる間にダイビングのインストラクターの免許を取った
横浜に戻ってくる 釣りの雑誌に原稿を書いていたりしたので、雑誌のライターをしようと、ライターをやっていた  一緒にカメラマンが付いてきていた  
自分ではもぐってきた経験があるので、カメラマンに自分のイメージを伝えるが、でき上ってきた写真は自分のイメージとは、ずれていた

自分が納得するには、自分で撮るしかないだろうと思った(28歳)
自分で思っていたよりは難しいことが判る これは勉強しなければいけないと思っていた矢先に
編集者と打ち合わせに行った先に、中村 征夫さんにお会いすることができた
うちにきて勉強するかと言われた  2年半アシスタントをして、その後独立する
いろんな方に面白い写真を見ていただくことが私の仕事だと思っています
クリオネ(貝の仲間) 羅臼の海の流氷の下で撮る
クジラ 南太平洋トンガ王国 7~9月 ザトウクジラの出産時期 子供を産み、小クジラが1カ月ぐらいトレーニングをして、その後、親と旅を始める
1000mぐらいもぐるクジラもいる

サメは結構遭遇したことがある (メジロサメ シュモクサメとか)  けがをしていたり、銛で付いた魚を持っていたりすると危ないが、普段はそれほど危険ではない
魚を正面から撮る写真がおおいが、なかなか正面に回る事が難しい
魚を釣るには絶対魚を刺激しないようにする 写真を撮るのにも、どうやったら魚に気付かれない、やっぱり自分は撮りたいという気配、変な負のエネルギーを出さないようにする
魚に全部伝わってしまう 
魚は正面から見ると誰かに似ていたり、 怒っている顔、温和な顔がある

神奈川県は山 1月下旬から2月中旬  沖縄の海と思われるくらい透明 深い海の水が上がってくる 涌上流 冷たい水が上がってくる 海藻が繁茂する その時期に産卵する(エビ、カニ等)
3月上旬、中旬 春の潮が入ってくる 海藻が流れ藻になる そこに隠れて沖に出て成長する
季節の循環の素晴らしさに感動する
出会って刺激的、感動したのは、東京の小笠原の父島で出会った時の、珊瑚の産卵
なぜか大潮の満潮の夜に産卵する  浮遊卵が引き潮でどんどん拡散してゆく
次の日の朝は一面に浮いていて、沈んで自分の場所を確保する
珊瑚は小さな魚の隠れ場所 産卵場所になる

昨年1月31日にNPO法人を立ち上げる  「海の森から山の森へ
地球は約表面の7割は海 地球は陸地がメインなんだと思われがちだが、海がメインです
そういう星なんです  二つの森はバランスをとってやっていかないと、うまくいかない
山の森から注いだ水は、最終的には海の森に注いでしまう  その水を私たちがなんとかしないと、海の森が長く存続できないでしょう、といろいろな形で、提案している
水の循環を世に知らしめてあげないと、気つかないのではないか
水資源に対してありがたみを感じていない  
生活排水も海に行ってしまうんだと感じないといけないと思う
ビジュアル 子供に理解してもらいやすい(自分たちのお友達が海にいる)
環境 人間からのダメージが弱まると、自分たちは復活するという力を持っている